双日テックイノベーションが考える国内通信キャリア向け次世代ネットワーク像
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前回のブログでは次世代ネットワークの構成要素について、Interop Tokyo 2023の『ShowNet』ブースの注目カテゴリとキーワードを中心に紹介しました。今回のブログでは、当社が考える次世代ネットワーク像について解説させていただきます。なお、本ブログ内で解説させていただく次世代ネットワーク像は執筆時点での目指すべき姿であり、市場での技術開発やポートフォリオ戦略に基づき変更されていくものであることを予めお断りさせていただきます。
関連ブログ:『Interop Tokyo 2023 ShowNetにみる次世代ネットワークの姿』
目次
双日テックイノベーションが考える国内通信キャリア向け次世代ネットワーク像
当社ではJuniper Networks, Inc.のポートフォリオを始めとして、国内通信キャリア企業様のバックボーンネットワークのご支援をさせていただいております。国内通信キャリア企業様の次世代ネットワークサービスの開発・提供をご支援させていただくため、当社自身で次世代ネットワーク像を定義し、ポートフォリオ戦略を強化しております。
次世代ネットワーク像の構成技術要素
当社の考える次世代ネットワーク像は以下の[A]-[F]の技術要素で構成されます。
[A] ネットワークスライスでのサービス重畳 および 広帯域化・サービス重畳化
- 5G SA方式の拡大にともなう“超高速大容量”,“低遅延”,“多数同時接続”な通信環境が標準化
- “超高速大容量”,“低遅延”,“多数同時接続”それぞれの特徴を有するサービスごとの品質要求に対応が必要
- ネットワークスライス (Slicing, SR-MPLS、SRv6等)技術に基づき、物理ネットワークを仮想的に論理構造として分割、大規模なNWでサービスごとに最適なルーティングを実現。拡張的なコントロールを実現してサービスごとの品質要求に対応。
[B] 光レイヤーとIPレイヤーの融合
- 従来、通信事業者をはじめとするサービスプロバイダのネットワークはほぼすべて、伝送レイヤーとIPレイヤーを個別に構築・運用。
- ネットワーク運用の自動化、帯域増強の迅速化等、ネットワークに対する要求内容の高度化を受けたシンプル化の需要拡大。解決策の1つとして伝送レイヤーとIPレイヤーの融合に注目が集まる。
- 具体的には、400G (ZR) + 800G (OSFP)による帯域増強、長距離伝送を実現 。
- Open ZR, OOLS, IWON, macsec 等、WANと密接関係にあるレイヤー間(光・IP等)のシームレスな融和・実装の実現の他、Router+専用OpticsによるDCI接続、Point to Multi-pointの拡張によるIP over DWDMの実現を目指す。
[C] 映像データのIP伝送
- 番組制作設備はSDIではなくEthernet/IPが主要化
- 映像データをIPで伝送する非圧縮映像伝送(Media over IP)の実現
- 今後、Media over IPに関連する互換性検証、設定・監視、セキュリティの標準化が進むことを踏まえた周辺ポートフォリオの拡充が必要
[D] WAN環境のセキュリティ設定
- 通信事業者をはじめとするサービスプロバイダに対するDDoS攻撃の脅威は拡大傾向
- 主な攻撃は“ボリューム型DDoS攻撃”,“5Gネットワーク向けDDoS攻撃”,“ファントムフラッド攻撃やマイクロフラッド攻撃”に分類
- 上記3タイプのDDoS攻撃を中心とするWAN環境へのDDoS攻撃防御の設計、および可視化技術を実装
[E] クラウド特性を理解した接続設計 および モバイルNW特性を理解した接続設計
- クラウド、モバイルなど多種多様なNWの特性に応じた相互接続の設計および接続技術の実装
- クラウドネイティブ環境の最大利用に向けたCNF (仮想/コンテナ等)の実装
[F]業務自動化 および NW監視・予兆検知・可視化・分析
- 事前テストやログ収集を含むWAN関連の定型業務の自動化による定常業務やサービス利用者対応の自動化および品質の均等化支援
- AI OpsおよびML Opsによる蓄積データ利用の分析と障害の予兆検知、ならびに障害発生時の原因特定・回避案の実装支援
- 運用監視・可視化によるサービス利用者の体感満足状況の監視および可視化の実現
- NWシステムおよび構成ポートフォリオに応じた監視・運用システム基盤 (オーケストラレータ)の構築
いかがでしょうか?当社の次世代ネットワーク像は、今春よりお客様に紹介しているものですが、Interop Tokyo 2023のShowNetで展示されていた次世代ネットワークの構成要素に非常に近しいものであると個人的に感じております。当社の次世代ネットワーク像を構成する各ポートフォリオならびに技術詳細については、今後別途紹介させていただく予定ですので、続編をお待ちいただければと存じます。今回も最後までご高覧いただきありがとうございました。
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この記事の執筆者・双日テックイノベーション:仮家雄高
・サービスプロバイダ事業本部にてデジタルマーケティング業務を推進
・DaaS領域のマーケテイングおよびプリセールスに従事してきた経験を活かし顧客企業に常駐してサービス推進を担う貴重な経歴をもつ