EX9200事例 さくらインターネット株式会社様

ジュニパーのEX9200を採用することで、従来と比べ1/3のL3スイッチ台数で50,000ホストを収容できるようになりました。

  • 企業名さくらインターネット株式会社
  • 設立1999年8月17日
  • 所在地大阪市中央区南本町1丁目8番14号
  • 事業概要インターネットへの接続サービスの提供、インターネットでのサーバーの設置およびその管理業務、インターネットを利用した各種情報提供サービス業務、電気通信事業法に基づく電気通信事業、マルチメディアの企画ならびに製作・販売、インターネットに関するコンサルティング、コンピュータソフトウエアの企画・開発およびその販売、コンピューターおよびその周辺機器の製作および販売・保守、不動産の賃貸および管理
  • 取材対象さくらインターネット株式会社
    運用部 技術チーム 東 常行 氏(左)
    基盤戦略部 バックボーンチーム 粕谷 宗史 氏(右)

人々とビジネスの可能性を広げるデータセンター事業を展開する「さくらインターネット」

さくらインターネットについてご紹介ください。

さくらインターネットでは、ホスティング・ハウジングといったデータセンター事業を通して、お客様のビジネスの成長を支援しています。1996年のサービ ス開始以来、常にお客様とインターネットの可能性を広げる、コストパフォーマンスに優れたサービスの創造につとめてきました。

将来的に、石狩DCにおいては8棟のデータセンター建設を予定していますが、1号棟のサーバールームがすでに埋まりつつあることから、2013年12月に2号棟をオープンしました。

さくらインターネットの
石狩データセンター
(画像提供:さくらインターネット)

ルーティングのシンプル化とマルチベンダー環境をコンセプトにネットワークを設計

新たに構築した2号棟のネットワーク概要について教えてください。

サービス収容ルーターとしてEX9200を冗長構成で配置し、各種サービス用のネットワークを収容しています。サービスネットワークの一種では、1号棟を含む累計で約300台のイーサネットスイッチ ジュニパーネットワークスEX2200をTORスイッチとして配置しています。

基本的な構成は約2年前に導入した1号棟のネットワークとほぼ変わらないのですが、2号棟のネットワークでは、「集約密度の高いコアスイッチを採用した構成とルーティングのシンプル化」および、「マルチベンダー環境によるリスク分散」をコンセプトにネットワークを設計しました。

まずは、「集約密度の高いコアスイッチを採用した構成とルーティングのシンプル化」について、詳しく教えてください。

2号棟では50,000ホストを収容できるようにネットワークを設計しなければならないという条件がありました。1号棟のときはサービス収容ルーターの冗長ペアを数多く並べてスケールアウトしていましたが、その分、数多くのサービス収容ルーターを導入・管理しなければなりませんでした。

高密度にネットワーク収容できるEX9200を採用することで、2号棟で稼働するサービス収容ルーターの数としては、1号棟に比べて1/3以下に抑えられる見通しです。また、同時に収容能力も1号棟より向上します。その結果、物理的な構成もルーティングもシンプル化することができ、運用負荷の軽減や設置スペースの圧縮によるコスト削減にも結びつきました。

では、「マルチベンダー環境によるリスク分散」について、詳しく教えてください。

1号棟のときは、結果として、サービス収容ルーターは同じベンダーの製品で統一されてしまったため、今回はリスクを分散するという観点から、1号棟とは異なるベンダー製品を主に検討しました。実際、上位のコアルーターについては、マルチベンダー化をすでに順次進めています。

1号棟と同じ機器構成で2号棟のネットワークを構築する方法もあったかと思いますが、なぜ、あえて別の機器構成で構築しようと考えたのでしょうか。

1号棟のネットワークの設計・構築時は、EX9200のような高密度なスイッチはほとんど見当たらず、あってもコストなどの制約で採用するのが難しい状況でした。

今回は、高密度なスイッチが利用できるようになったことで、メンテナンス性に優れ、質の高いネットワーク環境を容易に構築できるめどが付きました。

また、長期間データセンターを運営していく上で、ネットワーク機器の入れ替えは極力避けたいところです。最新かつ拡張性の高い機器を採用すれば、長期間、安定したネットワーク環境を運用でき、投資効果も高いと判断しました。

EX9200を採用した理由を教えてください。

高密度であることはもちろんですが、ジュニパーネットワークスのEXシリーズという実績のあるメーカーの主力ラインナップ製品であり、安心感や信頼感がありました。SDN(Software-DefinedNetwork)や100GBへの対応など拡張性も高いので、長期間利用し続けることができると考えました。

さらに、ジュニパーネットワークスの主要製品に共通で搭載されているモジュラー型OS「JunosR OS」を利用できるので、リモートでの運用や稼働状況の確認も容易で、負荷が増えるマルチベンダー環境において運用負荷の軽減も期待できます。

また、うまく伝わるかわからないのですが、「Junos OS」は柔軟な設定が可能なので、マルチベンダー環境において柔軟に他の製品の動きへと合わせることができると考えました。

ただし、EX9200は最新の製品で、国内における導入実績はほとんどなかったので、信頼の置けるベンダーからサポートしていただくことを条件に採用を決めました。

「国内における導入実績がないEX9200
を採用するためには、信頼の置ける
ベンダーからのサポートは必須でした」
さくらインターネット株式会社
東 常行 氏

マルチベンダーの機器構成でもワンストップで対応可能な点を評価

サポートベンダーとして、双日テックイノベーションを選定した理由を教えてください。

双日テックイノベーションはジュニパーネットワークス製品の導入実績が豊富で、ジュニパーネットワークスを含めた各メーカーとのパイプも太く、マルチベンダーの機器構成に関してもワンストップで対応してもらえる点を評価しました。

また、ネットワーク機器の設置・導入時にトラブルが発生したり、スケジュールが遅れたりすれば、データセンターの稼働に大きく影響しますし、石狩DCは地理的にも東京や大阪から容易に行ける場所でもないので、事前の検証や動作確認はとても重要なポイントだと捉えていました。

双日テックイノベーションの新技術サービスセンター(NETFrontier Center、ネットフロンティアセンター)において、実機による事前検証環境を提供してもらえる点や、技術者によるサポートも受けられることから、スムーズかつ確実に現場(石狩DC)への設置・導入が可能だと考えました。実際、事前検証で設定したコンフィグは、そのまま本番環境に適用できました。

「事前の検証や動作確認は、とても
重要なポイントだと捉えていました」
さくらインターネット株式会社
粕谷 宗史 氏

双日テックイノベーションへの評価と期待

今後の拡張予定などがあれば教えてください。

2号棟のネットワークは、大きなトラブルもなく順調に稼働しています。今回は、EX9200という最新のスイッチを採用したので、このまま問題なくネットワークが稼働し続けてくれれば、3号棟以降のモデルケースとなると考えています。

また、将来的には、ネットワークの自動運用などにも取り組んでいきたいと考えています。

双日テックイノベーションへの期待をお聞かせください。

今回、マルチベンダー環境にもかかわらず、十分な事前検証環境を用意してもらい、とても助かりました。また同時に双日テックイノベーションの技術力とサポート力の高さに感心させられました。

今後、よりよいサービスを低コストで提供していくために、双日テックイノベーションのサポートは欠かせませんので、引き続き、迅速で柔軟な対応を期待しています。

※記載の担当部署は、2014年3月の組織名です。