QFX10002事例 慶應義塾様
学術情報ネットワーク(SINET)への100GbE接続のために、信頼性の高いジュニパーのスイッチを導入しました
- 企業名慶應義塾
- 設立1858年
- 所在地東京都港区三田
- 取材対象慶應義塾インフォメーションテクノロジーセンター(ITC)本部
主任 細川 達己 氏
宮本 靖生 氏
慶應義塾では、最新の学術情報ネットワークSINET5への100Gbps接続を実現するため、ジュニパーネットワークス(以下、ジュニパー)の「QFX10002」を採用しました。双日テックイノベーションの手厚いサポートによって安定的な稼働を実現し、高度な学術研究を支える大容量インフラの構築に成功しました。
数十万人規模の利用者へ最適なICTサービスを提供
慶應義塾について紹介してください。
慶應義塾は、福澤諭吉の「実学の精神」にのっとって、1858年に建学されました。小学校から大学まで、幅広い教育研究環境を提供する総合学塾です。慶應義塾大学は、文部科学省の「スーパーグローバル 大学創成支援」事業において世界レベルのトップ大学(タイプA)として採択され、全学的に国際化を推 進し、世界に冠たる研究大学としての地位確立を目指しています。
慶應義塾では、6つの主要キャンパスに設置されたインフォメーションテクノロジーセンター(ITC)が連携し、組織全体の教育研究活動や事務部門の業務を支援するためのICTインフラとサービスを提供しています。
特に昨今では、クラウド技術の発展に伴い、クラウドサービスの提供にも注力しています。今後は在籍者だけでなく卒業生を含めた数十万人の利用者へメールをはじめとしたICT サービスを継続的に提供すべく、ネットワークインフラの整備に努めています。
慶應義塾ITCの特長は、ICT環境の利活用を支援できるように、専門技術に長けたエンジニアをそろえているところにあります。優れた技術を常に追い求め、厳しい目で運用し、最適なサービスを最適なコストで全塾に届けるのが私たちの使命です。
シンプルで拡張性の高いレイヤー2 100GbE接続を選択
100GbEスイッチの導入に至る背景を教えてください。
国立情報学研究所(NII)が運用している学術情報ネットワーク(SINET)は、多くの学術機関に利用されていますが、慶應義塾にとっても非常に重要なインフラであり、長年にわたって他の大学や研究機関との連携に活用してきました。
2016 年4月、SINET5の正式運用が開始され、加入機関は 100Gbpsの接続を利用できるようになりました。国内外50拠点がフルメッシュで接続され、今まで以上にさまざ まな大学・研究機関が参加できます。
本塾でも、医学研究をはじめ、さまざまな用途で大容量ネットワークを必要とする研究が増えていくでしょう。 マルチメディアコンテンツのような広帯域なネットワークを必 要とするサービス提供も考えられます。SINET5は、 100Mbpsから100Gbpsまで多様なインターフェースに対応していますが、将来的に100Gbps接続を想定し、知見を蓄積しておくことは、私たちにとって重要な取り組みなのです。
当初は、既存のコアルーターに100Gbpsインターフェースカードを追加して、収容するという手法も検討しました。しかし、モジュールが高額になり、拡張性の低さについても検討の 必要がありました。その結果、レイヤー2スイッチでメディア変換するほうが、シンプルな構成で、柔 軟に拡張していくことが可能だと判断したのです。
ベンダーや製品だけでなくパートナーの信頼度が重要
QFX10002を選定したポイントはどこにありますか。
検討した当初は、100Gbpsでレイヤー2接続できる製品は多くはなく、本塾にとって、この導入プロジェクトはチャレンジングなものでした。機器の選定には、製品の安定性はもちろん、メーカーや搭載されたソフトウエア、導入を担当するベンダーなど、総合的な信頼性を重視しました。重要なネットワークインフラですから、まったくの未経験のシステムは、できるだけ避けたいと考えていました。
本塾は、ネットワーク製品のマルチベンダー対応を図っており、一つのベンダーの製品に偏ったシステム構築はしていません。そのためジュニパー製品もいくつか導入しており、すでにJunos OSの運用は経験 済みで、優れたOSであることは理解していました。信頼性についても問題はなく、安定稼働が可能なソ リューションだと実感していました。QFX10002は高密度にポートを搭載しており、将来的な拡張性についても十分な余裕を持つことができます。
双日テックイノベーションの提案は十分に満足できる内容で、製品仕様やコストなどを総合的に考えた結果、最適な製品だと判断し採用に至りました。
導入ベンダーも選定の基準になったのですね。
IT管理者にとってもっとも重要なことは、導入した製品を安心して運用できることです。そのためには、導入前に私たちの組織や既存のインフラを熟知し、実現したい内容や要望をくみ取っていただいた上で、 製品の特性を踏まえた綿密な設計を行ってもらう必要があります。もしも導入作業や運用の最中にトラブルが発生したとしても、迅速かつ的確に問題を解決してくれる導入ベンダーを望みます。
双日テックイノベーションは、以前から本塾のインフラに関する案件にかかわっており、粘り強い提案や緻密な支援といっ た面で信頼していました。すでに述べたように、私たちは自発的に最新の技術動向に関する調査や選定を行いますが、さらに細かな情報などを、スピーディーかつ必要な質と量で提供していただける点を信頼しています。
新しい製品の導入には不安もありましたが、双日テックイノベーションのご提案なら、このプロジェクトを達成できると確 信していました。本塾の状況をしっかり理解しており、ジュニパー製品の導入実績やノウハウを多数持っているので他社よりもアウトソースできる部分が多く、今回の導入においても、導入当初にトラブルが発生したものの、担当エンジニアの方には迅速かつ的確に対応いただき、とても安心できました。
100Gbps SINET5によってさらなる学術研究の推進を支援
QFX10002の運用状況はいかがでしょうか。
現在、SINET5には2台のQFX10002から100Gbpsで接続 し、IPv4、IPv6接続を図っています。現在では、トラブルもなく、安定した塾内外を接続する通信環境を提供できています。将来的なネットワークの拡張にも対応できるようになり、 非常に満足しています。
将来的な100Gbpsの活用方法やネットワークの拡張などについて教えてください。
今回導入したQFX10002によるSINET5への100Gbps接続によって、よりストレスなく研究を行えるネットワークインフラを整備することができました。導入から間もないですが、すでに100Gbpsで塾外の機関と接続している箇所もあります。将来的には広帯域ネットワークを必要とするイベントなどにも活用で きることを期待しています。
今後の双日テックイノベーションに期待することを教えてください。
双日テックイノベーションのサポートは非常に手厚く的確で、大変満足しています。今後もこの品質を維持してほしいですね。
すでにさまざまな情報を提供いただいていますが、さらに有用な情報をタイムリー提供してほしいと思っています。技術革新や製品発表などに合わせて、プロアクティブに情報を提供してくれると申し分ないですね。
慶應義塾では、今後も先進技術へ積極的に取り組み、ICTによるサービスの向上を考えています。 Software-Defined Network(SDN)やSoftware-Defined Storage(SDS)など、さまざまな技術が統合され、実用化された製品が登場してくると思いますので、双日テックイノベーションにはより高度な提案とサポート提供を今後も期待しています。