MX2010/MX240事例 ヤフー株式会社様

数千万人が利用するインターネットサービスを、より快適により効率よく提供したい。ジュニパーネットワークスのMXシリーズを中核に、ネットワークの増強を図りました。

  • 企業名ヤフー株式会社
  • 設立1996年
  • 所在地東京都千代田区紀尾井町
  • 取材対象ヤフー株式会社 システム統括本部 サイトオペレーション本部
    本部長 高澤 信宏 氏(左)
    恒川 幸 氏(右)

ヤフー株式会社(以下、ヤフー)は、増え続けるトラフィックを効率よく収容するため、16ポートの100GbEを搭載するラインカードを採用し、拡張性の高い100G環境を構築。さらにサーバー環境の効率化を図るため、P2V/V2Vの実現に向けて、EVPN技術を活用した拠点間L2ネットワークを構築した。

ヤフーの事業概要

ヤフーの特長をご紹介ください。

ヤフーは、日本最大級のポータルサイト「Yahoo! JAPAN」を1996年に開設して以来、日々の天気やニュース、ショッピング、オークション、ファイナンス、ゲーム、地図、求人情報、不動産情報など、インターネットユーザーの生活に即した100以上のサービスを提供してきました。

他のサービスベンダーとは異なり、私たちは多種多様なサービス・コンテンツを自ら運営しています。そのため、量も種類も他に類を見ないほどのデータが集まる世界でもユニークな「マルチビッグデータカンパニー」と言えます。

ヤフーのサービスはユーザーの生活に寄り添っているため、ほとんど1日中、多数のアクセスを受け付けています。加えて、ビッグニュースが発表されたり、季節的なニーズが変化したりするたびに、急激なアクセスが発生します。膨大な量のトラフィックをさばきながらも、ピークにも備えるのが、私たちのインフラの特長です。もしものときにも余裕を持って対処できる「50%運用」を基本とした運用を心掛けています。

また昨今は、動画をはじめとしたリッチコンテンツの需要が高まっています。スマートフォンアプリでは、ライブ映像のニュースがよく視聴されています。ショッピングサービスでも、動画での製品紹介が増えています。しかも、従来よりも高解像度の動画が当たり前なのです。

ヤフーのサービスにとって、ネットワークインフラは非常に重要な要素です。データやサービスだけでなく、CDN(コンテンツデリバリーネットワーク)のようなインフラも自前で運用しています。常に快適なサービスを提供できるように、先進的な技術を積極的に採り入れています。

「MXシリーズはYahoo! JAPANの
快適なサービスを支える名機です」
ヤフー株式会社
システム統括本部
サイトオペレーション本部 本部長
高澤 信宏 氏

バックボーンネットワークの「高密度100G化」を実現

高密度100Gモジュールを導入した背景と効果をお聞かせください。

近年、リッチコンテンツへのニーズの高まりとトラフィックの増大を受けて、ヤフーでは他の事業者に先駆けてバックボーンネットワークの100G化を進めてきました。さらにこの数年で100G化も当たり前になってきており、対外接続でも100Gのニーズが高まっています。

そこで問題となるのが、ポート密度です。従来の100GbE対応ラインカードは、2~4ポートほどしか搭載できませんでした。100G接続のニーズが急速に高まる中、ポートを増やすにはシャーシも増設しなければならず、50%運用を維持するには非効率だったのです。

そうした悩みを抱えているところで、ジュニパーネットワークスが最大16ポートという高密度なラインカード「MPC9E」を発表しました。もともと東日本の拠点に導入していた「MX2010」に対応しており、単純に密度を4倍に拡張できます。

まだ登場したばかりの新製品でしたが、双日テックイノベーションの強力な支援もあって早い段階で検証を行うことができました。現在は西日本の拠点にMX2010とMPC9Eを追加して、「高密度100G化」を実現しています。将来的な拡張性を確保し、以前は頻繁に発生していた調達作業も減らすことができました。

Juniper MXシリーズは、高い信頼性を実証した「名機」

EVPNゲートウェイルーターを採用した背景をお聞かせください。

もともと私は、Ethernet VPN(以下、EVPN)技術が登場したとき、データセンター間のL2延伸実現が期待できると、注目していました。一方ヤフーでは、複数のデータセンターを運用しており、多くのシステムは仮想化が進められていたものの、多数の物理サーバーが残されている拠点もありました。

当時はサーバー数にして10万台ほどが物理環境のままで、拠点のスペースを圧迫していました。これを他の拠点の仮想化環境に移行すれば、その拠点をリノベーションして新しいデータセンターを興したり、効率が悪い拠点を廃棄したりすることができるようになります。

問題は、拠点間のPhysical to Virtua(l以下、P2V)をどのように実現すべきかという点です。EVPN技術でL2延伸を実現できれば、IPアドレスや内部データを変更することなくシステムを移行でき、サービスへの影響も最小限で済みます。また、将来的なVirtual to Virtua(l以下、V2V)を実行するための「足回り」としても役に立つでしょう。

ヤフーのネットワークは、大部分がジュニパーネットワークスのシステムで稼働しています。EVPNは既存ネットワークに組み込むことを前提としていましたので、ハードウエアもそろえる方がよいと思っていました。Juniper MXシリーズは10年ほど利用していますが、ほぼ無事故で運用できており、高い信頼性を実証した「名機」だと感しています。

最終的には、双日テックイノベーションからさまざまな情報提供と提案を受け、当社に最適なEVPNゲートウェイルーターとして「MX240」を選定しました。

まずは2拠点間のデータを完全同期するためのインフラとしての活用から始め、現在はP2Vも徐々に進めています。V2Vのサービスも、できるだけ早くローンチしたいですね。

「私たちの課題に対して常に完全な
回答をくれるパートナーは希少です」
ヤフー株式会社
システム統括本部
サイトオペレーション本部
インフラ技術3部バックボーン
恒川 幸 氏

双日テックイノベーションの幅広くスピーディーなサポート

双日テックイノベーションのサポートをご評価ください。

私たちが双日テックイノベーションのサポートを受けるようになって、16年ほどになります。定期的なミーティングを続けており、私たちのビジネスやバックボーンもよく理解してくれています。いわゆる“ツーカーの仲”と言うのでしょうか、私たちの課題に対して常に完全な回答を提供してくれます。コミュニケーションコストが小さいというのは非常に大きなメリットです。

私たちの部門は、Yahoo! JAPANのサービスを支えるため、常に改善を検討し、必要とあれば機器の導入や改訂を都度行っています。その点で、双日テックイノベーションの幅広くスピーディーなサポートに非常に助けられています。

今回の高密度100G化やEVPN導入においても、さまざまなサポートを提供してくれました。一般的な企業では知り得ない互換性の問題なども細かくチェックし、安心して導入することができました。特に、登場したばかりで日本での販売もまだ開始されていなかったMPC9Eは、同社の協力がなければ導入することはできなかったでしょう。希少なパートナーだと実感しています。

データセンター内部の100G化に向けて双日テックイノベーションの高品質なサービスに期待

今後の予定をお聞かせください。

今後、100Gネットワークは一般化していくことでしょう。私たちも、外部との接続だけでなく、データセンター内部の100G化を進めていく必要があります。高密度化によって、その拡張性が確保できるようになったと考えています。

EVPNによる拠点間L2ネットワークは、すでに述べたように、まずはV2Vの実現を目指したいと思います。また、現在のところ一部のデータセンター間のみですが、例えば東西エリアを接続する用途にも考えています。

ジュニパーネットワークスのMXシリーズやJUNOSは非常に気に入っているため、今後も活用したいと考えています。今は、ネットワーク管理プラットホーム「NorthStar Controller」に注目し、検証を開始しています。双日テックイノベーションには、これまで同様の高品質なサービスを継続してほしいですね。

※2023年10月にヤフー株式会社様はLINEヤフー株式会社様へ社名が変更されております。