QFX5100事例 NTTスマートコネクト株式会社様
QFX5100によるVCF環境を構築したことで、大規模コンテンツ配信への対応力と運用性に優れたネットワークを実現することができました。
- 企業名NTTスマートコネクト株式会社
- 設立2000年3月1日
- 所在地大阪府大阪市北区大深町3番1号 グランフロント大阪タワーC13階
- 事業概要データセンターを核としたインターネットプラットフォーム事業
- 取材対象NTTスマートコネクト株式会社
サービスオペレーション部 主査 山崎 善実 氏(左)
サービスオペレーション部 妹尾 勝文 氏(右)
NTTスマートコネクト株式会社(以下、NTTスマートコネクト)では、ストリーミングサービスの配信基盤をマイグレーションする際、コアスイッチとしてジュニパーネットワークス(以下、ジュニパー)のデータセンタースイッチ QFX5100(以下、QFX5100)を採用した。導入の経緯とねらいについてお話を伺った。
3つの事業を軸に顧客のビジネス発展に貢献する「NTTスマートコネクト」
NTTスマートコネクトについてご紹介ください。
NTTスマートコネクトは、NTT西日本グループにおける戦略的アンテナ企業として2000年に誕生しました。
西日本最大級のデータセンターを基盤にお客様のサーバーをお預かりする「ハウジング事業」、仮想プラットフォームからSaaS型サービスまで幅広く提供する「クラウド事業」、信頼性の高い動画配信サービスを提供する「ストリーミング事業」という3つの事業を軸に、お客様のビジネス発展に貢献するサービスを展開しています。
NTTスマートコネクトの強みとは、どのようなところでしょうか。
先進的かつ信頼性の高いデータセンターやIX直結のインターネット接続環境など、NTTグループならではの高品質なサービスとサポートが、当社の強みの一つです。
また、常に最先端の技術に挑戦し、より快適で、より便利なサービスを追求し続ける「ベンチャー・スピリット」も、創業以来の当社の企業風土であり、お客様から評価をいただいています。例えば、2016年1月より新たに提供を開始したAmazon Web Services (AWS)など海外大手クラウドサービスとのマルチクラウド接続環境を提供する「クラウド クロス コネクト」もその一つです。
ストリーミングサービスの配信インフラを増強するためにマイグレーションを実施
QFX5100で構築したネットワークの概要を教えてください。
当社が提供する各種ストリーミングサービスの配信インフラの増強を目的に、サーバーやネットワーク基盤をマイグレーションしました。
これまで利用していたジュニパー製品のEX4500スイッチで構築したインフラとは別に、新たにQFX5100で構築したネットワークを増設しました。
現段階では新旧ネットワークを併用していますが、今後段階的に新ネットワークへ移行していく予定です。
大規模コンテンツ配信への対応力を始め、メンテナンス性、拡張性、可用性が向上
QFX5100で増設したネットワークのメリットについて教えてください。
QFX5100によって新しく構築したネットワークは、従来と比較して「大規模コンテンツ配信への対応力」をはじめ、「メンテナンス性」、「拡張性」、「可用性」が向上しています。
【メリット1】大規模コンテンツ配信への対応力向上
40Gbpsインターフェースを使った広帯域のアップリンクにより、突発的な大容量配信に対して安定的に配信できるようになりました。また、大容量のバッファリングにより、バーストトラフィックによるパケットドロップのリスクも解消することができました。
【メリット2】メンテナンス性の向上
バーチャル・シャーシ・ファブリック(VCF)によるSpine-Leaf構成を採用しました。そのため、遅延の発生しにくいフラットな論理スイッチとして一元的なネットワークの管理が可能になり、柔軟なリソースの割り当てができるようになりました。
また、Insight Technologyにより、msec単位でネットワークトラフィックの詳細な動きを把握し、バーストの発生量も監視できるようになりました。その結果、特定担当者の経験や勘に頼らず、的確にネットワークの状況を分析してリンクの拡張設計などができるようになりました。
【メリット3】拡張性の向上
ネットワーク機器の種類や構成にとらわれることなく、筐体の増設のみでポート拡張が可能なため、サービスの拡張やビジネスプランに合わせて柔軟にネットワークを拡張・最適化できるようになりました。
【メリット4】可用性の向上
TISSU(トポロジー非依存型インサービス・ソフトウエア・アップグレード/ノンストップ・ソフトウエア・アップグレード)により、ストリーム通信やルーティングに影響を与えることなくソフトウエアやOSをアップグレードできます。フェイルオーバー時間を最小限に抑えて高可用性を実現できました。
ストリーミング映像配信のトラフィック急増により帯域が枯渇
ネットワークを増強することになった経緯を教えてください。
近年、コンテンツの高解像度化や映像配信サービスの増加、視聴メディアの多様化などに伴い、ストリーミング映像配信トラフィックがうなぎ登りで増加しています。
そのため、既存の配信インフラでは帯域の枯渇が見られるようになり、そのままでは、パケットドロップなどストリーミングサービスに影響が出かねない状況が続いていました。
また、サービスの増強に伴いサーバー環境も増強されますが、サーバー側に大容量のネットワークボードを搭載してもネットワークがボトルネックとなってしまっては意味がないので、サービスレベル全体を最適化するためにもネットワークの増強が必要でした。
そこで、当社のネットワークをサポートしてもらっているベンダー数社に提案を依頼しました。
求めたのは大容量のバッファとポートを搭載した高密度なスイッチ
ベンダーからの提案を選定する際の要件を教えてください。
すでに帯域が枯渇しており、近い将来10Gbpsのポートが不足することは明らかなので、大容量のバッファとインターフェースを搭載した高密度なスイッチが必要だと考えていました。
また、ネットワークの安定性や操作性、メンテナンス性、実績、そしてベンダーのサポート体制なども選定要件となりますが、特に今回は「無停止運用」と「メンテナンス性・拡張性」という点について、これまで以上にこだわりました。
「無停止運用」と「メンテナンス性・拡張性」という点について、なぜこだわったのでしょうか。
今やネットワークサービスは、水や電気といったインフラと同様、24時間365日快適に使えることが当たり前の存在です。コンテンツ配信をサポートするインフラとして、フェイルオーバー時間を最小限に抑え、限りなく無停止運用を実現するのは当然のこだわりです。
また、「メンテナンス性・拡張性」に関して、これまではどちらかと言えば長期的なスタンスで、できるだけ大容量のものを採用する傾向がありました。しかし、それは現時点で見れば余裕を持った投資で、最適化されているとは言えません。現在のように技術の進化が早く、ビジネス環境もドラスティックに変化する状況では、資産を最大限に活かし、今と将来、その両方を見据えた投資が求められます。
そういう意味で、メンテナンス性と拡張性に優れたネットワーク機器やネットワーク構成を採用することで、現時点で必要なネットワークを実現すると同時に、リソースの割り当てや拡張の自由度が高いネットワークを構築できると考えました。
稼働実績の少ないQFX5100を採用するにあたり、日商エレクトロニクスのサポートは必須
日商エレクトロニクスからの提案を採用した理由を教えてください。
当社のネットワークには元々ジュニパー製品が多く導入されており、Junos®OSの使い勝手やジュニパー製品の安定性には大きな信頼を寄せています。その点で、日商エレクトロニクスからの新たなジュニパー構成での提案は、運用負荷の軽減につながると判断しました。
また、QFX5100は40Gbpsの大容量インターフェースや、運用性を高めるTISSU機能を搭載しているだけでなく、VCF構成を組むことによって、高いスケーラビリティと、優れたメンテナンス性、安定性を実現できると評価しました。
一方、QFX5100という国内における稼働実績が少ない製品を導入するにあたっては、当然リスクもあり、そのリスクを解消するためのサポート体制があるかどうかも大きな選定の要因となりました。
その点、日商エレクトロニクスであれば、ジュニパー製品に対する技術力、実績、トレーニング体制、調達力などは申し分なく、営業担当者ならび技術担当者の対応も迅速なので、安心してサポートを任せられると判断しました。
日商エレクトロニクスへの期待
今後の拡張予定などがあれば教えてください。
QFX5100は、運用の簡素化や自動化をサポートする機能を搭載しているので、日商エレクトロニクスにも相談をしながら、さらにネットワークの信頼性と品質の向上をめざしていきたいと考えています。
日商エレクトロニクスへの期待をお聞かせください。
導入前から機器の説明やハンズオンを実施してもらい、ネットワーク機器だけでなく設計や運用のアドバイス、技術的な問い合わせに対しても迅速かつていねいに対応してもらえたので、課題が上がってもスムーズにクリアできました。
今後も、優れた製品とサポートを通じて、当社サービスの後方支援をしていただくことを期待いたします。
また、新たなバックボーンネットワークのインフラ構築に関しても相談に乗ってもらっているので、今後ともよろしくお願いします。