最新世代のハイエンドMXルーターに小型モデルMX10004が追加されました
通信サービスを提供する事業者、クラウド事業者、サービスプロバイダーの設備ネットワークには、ハイパフォーマンスでスケーラブルなルーターが導入されています。今回は、ジュニパーネットワークスのハイエンドエッジルーターMX10008のサービススロット数を減らしたMX10004がリリースされましたので、ピックアップします。
目次
ジュニパー MXシリーズの代表モデル
MXルーターは、マルチサービスエッジや統合型コアアーキテクチャでも使用でき、ラベルスイッチングルーター、プロバイダエッジ、インターネットピアリング、バックボーンアプリケーションなどをサポートします。
そして、ハイエンドルーターの中でも最もコンパクトなモデルが、今回ご紹介するMX10004となります。
■MXシリーズ ユニバーサル ルーティング プラットフォーム
MX10004の概要
MX10004 ユニバーサル ルーティング プラットフォームは、スペースやパワーが制限された環境に対して、大規模な拡張および効率を提供します。
自動化機能を搭載したキャリアグレードのマルチサービス プラットフォームで、オペレーターは常に拡大する帯域幅、加入者、サービスの需要を満たすことができます。
ハイエンドのシャーシー型ルーターではMX10008が売れ筋でしたが、機能や信頼性はそのままに、ラインカード(LC)用スロットを4スロットにしぼったコンパクトなMX10004の登場により、より幅広いお客様での導入が可能となりました。
外観と仕様
冗長型デュアルRE(ルーティングエンジン)は、Junos OSを実行して、すべてのコントロールプレーンの機能を管理します。専用の高帯域幅管理チャネルを通してラインカード上のPFEと対話するため、制御プレーンと転送プレーンが明確に分離されます。
ラインカードは、シャーシーの前面で水平方向に配置され、直交相互接続を介してシャーシーの背面にあるスイッチファブリックカードと直接接続できるため、ミッドプレーンを必要としません。そのため、高速のスイッチファブリックが発売されるとスムーズにアップグレードでき、投資が保護されます。ミッドプレーンを使用しない設計によりエアフローも改善されています。
ラインカード(LC)
ラインカードは2種類用意されています。
1つ目は、1GbE/10GbEをネイティブで48ポート提供する480Gカード(MX10K-LC480)、2つ目は、400GbEまでの高速インタフェースに対応する9.6Tカード(MX10-LC9600)です。両カード間での相互運用性が確保されていますので、2種類のカードを組み合わせて、最大4枚までMX10004に収容できます。
なお、9.6TカードについてはPAYG(Pay-As-You-Grow)がサポートされていますので、最小2.4T分の帯域ライセンスで初期導入費用を抑制し、将来必要に応じて最大9.6Tまで拡張するといったことも可能になっています。
■480G ラインカード:MX10K-LC480
ライセンスオプション
他のMXシリーズと同じく、MX10004でもフレックス・ソフトウェアと呼ばれるライセンスモデルが採用されています。これはハードウェアと機能を切り離し、ユースケースに応じて必要な機能をライセンスとして選択するというものです。
この機能ライセンスは、利用期間に合わせたサブスクリプションとして導入することもできますし、パーペチュアルライセンス(永久ライセンス)も選択可能です。
利用可能な機能と対応スケールが異なる2種類のライセンス(AdvancedもしくはPremium)のいずれかをユースケースに合わせて選択し、ラインカード毎に導入します。各ライセンスの詳細は下記図をご覧ください。
※Juniper Flex Program Guideはこちら
ユースケース
革新的なユニバーサルシャーシー設計により、さまざまなサービスプロバイダ様でのネットワークセキュリティ、データセンターの要件に対応し、さらに将来の要件に備えることができます。
他モデルからの移行について
MX240/MX480/MX960からのリプレイス
MXシリーズのシャーシー型モデルでは、MX240/MX480/MX960といったロングセラーモデルをご利用中のお客様が多数いらっしゃいます。コンパクトなMX10004のリリースにより、最新世代モデルへの移行を検討中のお客様の選択肢が増えました。
移行イメージと選択オプション
以下の図は、従来モデルと最新モデルの基本的なスペックを比較したものになります。リプレイスをお考えのお客様の参考になればと思います。
MX240からですとMX304も候補になるかもしれません。
※ ()内はルーティングエンジンを非冗長構成とした場合のデータになります。
MX240/MX480/MX960用ラインカードとの比較
ここからは、従来モデル(MX240/MX480/MX960)と最新モデル(MX10004/MX10008)のそれぞれのラインカードに焦点をあてて、ポート単価を比較してみました。比較対象ラインカードのHW価格と、弊社お客様で最も多く選択されているAdvancedソフトウェアライセンス価格(パーペチュアル)を合算した価格で比べています。
具体金額は記載していませんが、従来モデルで利用可能なラインカードのポート単価を100とした場合、最新ルーター用ラインカードの相対ポート単価が分かるようにしました。
MPC10Eとのポート単価比較
まずは、400GbEをサポートしているカード同士の比較です。
カードに実装されているASICの世代が異なりますので、右側の最新ラインカード(MX10K-LC9600)では400GbE/100GbEといった高速ポートの価格が割安になっているのがわかります。
MX240/MX480/MX960用にはMPC10E以降のラインカード開発が予定されていませんので、来る400GbE時代に備えた設備投資では最新世代への移行がお勧めです。
MPC7E-MRATEとのポート単価比較
次に、MX240/MX4809/MX960用では先に比較した、MPC10Eの一つ前の世代にあたるMPC7E-MRATEを見てみます。
比較するカードは、前の比較で使用したMX10K-LC9600の利用帯域を9.6Tから2.4Tに制限したPAYG(Pay-As-You-Grow)モデルになります。10GbEポート単価は両者で変わりませんが、100GbE単価はMX10K-LC9600 (PAYG)が1/3程度になります。
9.6Tはさすがに過剰というお客様にとって、初期導入費用を抑えたPAYGは魅力的ではないでしょうか。
MPC7E-10Gとのポート単価比較
最後は、10GbE対決です。
左側はMPC7E-10G(400G)、右側はMX10K-LC480(480G)となり、どちらもブレイクアウトケーブルを使用することなくネイティブで10GbEを利用可能です。やはり最新のものは半額程度とお安くなります。
MX10K-LC480は1GEもサポートしていますので、低速インタフェースを利用中のお客様も移行しやすいですね。
以上、今回は発売されたばかりのMX10004と2種類のラインカードをざっとレビューしました。最新設備の導入をご計画のお客様、旧製品のリプレイスを検討中のお客様は、是非候補に加えられてはどうでしょうか。